ジャワのアグロフォレストリー
多くの熱帯雨林で、先住民たちは森林園芸(silvihorticulture)を発展させてきた(2)。例えば、西ジャワでは、アグロフォレストリーの存在が初めて10世紀に記載されたが、現在も村々の全耕作地の15~50%を占めていることがある。0.1haと面積は小規模だが(1,2)、栄養価の高い果実、野菜、肉、卵に加え(2)、薪用、木材、薬、装飾用と70種以上が混作で栽培されている(1)。一年草、多年草、蔓、匍匐植物があり、樹木は10~35mまで及び(2)、最大250種もの作物を用いている報告される村もある(1,2)。
アグロフォレストリー菜園では、家畜、とりわけ、家禽類も重要で(2)、放牧されたり、菜園の柵内で飼育され、菜園の産物や集めた植物が餌となっている。家畜は養分の循環で重要で、家畜の廃棄物も菜園の養分循環に寄与している。また、養殖池も菜園内にあり、魚は家畜や人間の排泄物や野菜で養われている(1,2)。 菜園では、落葉や枝が分解し、リターや腐植となり、養分が循環する。また、堆肥、養魚池の泥や緑地も農地では一般的に用いられている。有機物の循環が維持されることで、無化学肥料で地力を維持するのに十分である(Michon et al. 1983)(2)。
各植物の水平、垂直での物理的配置は洗練され、各植物の日陰への耐性に応じ、日差しに強い種が上層では利用され、陽光や湿度勾配の垂直の変化に応じて、様々な種が適切な「ニッチ」で育てられている。伝統的な農民たちには、各植物種の要件に見合う場所に、植物を適合させるエコロジーの知識があると、Michonらは報告している(1)。村人たちは、システム内の動植物の機能やダイナミックを調整し、改変しており(2)、結果として、人口密度が高いジャワで人々を養えている(1)。
タンザニアのアグロフォレストリー
タンザニアのキリマンジャロに住むバンツー(Bantu)族に属するチャガ族(Chagga)も、優れた伝統的な農民で、約1200人/㎢の人口密度を支えるため、多層菜園を活用している (Fernandes et al. 1984)。 菜園は、家畜、食用と換金作物のすべてがあり、100種以上の植物種が記録されている。バナナだけでも、食用、ビール醸造、飼料用と15種もが栽培されている。 菜園は、垂直的に5層からなる。最下層(0~1 m)は、様々な食用作物、ハーブや草で、2層目(1~2.5 m)は、コーヒーや低木からなり、3層目(2.5~5 m)は、バナナゾーンとなっている。ここには、果物や飼料木も含まれる。4層目(5~20m)は、燃料用と飼料用の樹木で、5層目(15~30 m)は、貴重な材木、燃料、飼料木の樹冠からなっている。
こうしたシステムでは、何世紀にもわたり深刻な病害虫問題がほとんど発生していない。また、農薬が使われることはまずないし、その必要もない。それは、アグロフォレストリー菜園のシステムがその地域の安定した熱帯生態系を模倣しているためである。この驚くべきほどの種の多様性が菜園の病害虫管理上で重要な意味を持つ。作物が多様なため、害虫はわずかな数のまま孤立し、破壊的な数まで増えられない。また、間作も、植物病原菌を抑制する。日陰は湿度や露、温度に影響し、それがいくつかの病原体を減らす。 さらに、伝統的な農民たちは、何世紀もかけ、その条件下で繁栄する品種を選抜してきている。その栽培状態に最適な品種となっているのである(1)。
【引用文献】
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